借地権の空き家の朽廃について


借地権の上にある空き家も、放置しているとだんだん朽ちていきます。
これについても、単なる老朽化と朽廃と呼ばれる状態とに分かれます。
この2つの言葉の意味は異なってきます。
この2つの言葉は、は借地契約の建物明渡しにかかわる裁判などでは、契約存続について重要な意味合いを持ちます。
以下、おもに朽廃について考察していきます。

老朽化と朽廃について

老朽化とは、建物が経年劣化により、建物自体の性能や品質が落ちていく状態のことを指します。
つまり、人が居住することはまだ可能、ということになります。
一方、朽廃とは、空き家などの建物が、人工的にではなく、長年に渡り自然的な腐食状態によって、社会的経済的効用を失った状態で、人が住めない状態のことを指します。
具体的には建物の土台や柱などが破損し、壁等が剥落し、材料が腐食しているなどの場合をいいます。
旧借地法において、朽廃と認められた場合に、借地契約は終了してしまいます。
これは、旧借地法のみの制度であり、新法では、朽廃による借地権が消滅する制度はなくなりました。

老朽化・朽廃した借地権

よく、親の代からの借地権の空き家が老朽化したがどうしたらいいか、という相談があります。
その家を親の世代から使用していたという事もあり、すでに老朽化していることが多く、人が住んでいない状態だと、老朽化の進行は早くなります。
そのまま放置していると、躯体部分が腐ってしまって、朽廃状態となってしまいます。
朽廃してしまうと、借地権設定者つまり地主から借地権の存否を問われてしまいます。
その場合でも、借地権者と借地権設定者とで協議・交渉していくのですが、最悪のケースだと借地契約の解除につながる場合もあり得ます。
また、「空き家対策特別措置法」の特定空き家に認定されてしまうと、借地権者つまり建物の所有者宛てに通知が来ます。
この通知を行っても改善が見られない場合には、行政で強制的に撤去されてしまう可能性があり、解体費用は所有者あてに請求されます。

借地権の空き家を持っている人がとれる方法

では、借地権の上の空き家を持っている借地権者としてはどういう選択肢があるのでしょうか?
1.現況のまま売却する
2.リフォームや建替えして人に貸す
3.地主に借地権を返す
こういった方法を取ることができます。
まず、1.についてです。
現況のまま売ればそれまでですが、建て替えして売る場合もありえます。
その場合は、借地権設定者つまり地主さんに払う、建替え承諾料(更地価格の3%~5%程度)や、譲渡承諾料(更地価格の10%程度)の支払が発生することがあります。
また、建物と建替えるためにかかる費用として、取壊し費用・建替え費用等ざっと見積もっても、2000万以上かかる可能性もあります。
そして、借地権設定者との交渉も借地権者がしないといけません。
裁判所の代諾許可の制度もありますが、これもまた裁判手続となってしまいます。
次に2.についてです。
借地権の空き家を、軽微なリフォームだけする場合は、地主さんの承諾は必要ありません。
しかし、老朽化や朽廃した建物を大規模なリフォームや増改築をするとなれば、借地権設定者つまり地主さんの承諾が必要となります。
この借地権設定者に支払う承諾料は、交渉次第とはいえ、更地価格の3%~5%程度に達する可能性があります。
リフォームも建替えも、承諾料を含めると多額の費用が掛かります。
それを現金で賄えるという方は少ないのではないかと思います。
したがってローンを組むことになりますが、これも地主様のローン承諾をもらわないといけません。
このローン承諾についてもまた承諾料を支払うこともあり、地主さんによっては断られる可能性もありえます。、
また3.についてですが、借地権設定者つまり地主さんに借地権を返すというのも一つの方法としてはあります。
しかしその場合はほとんどの場合で、地主さんは更地にして返してくださいと言ってきます。
土地賃貸借契約書に「原状に復して返還するものとする」という条文をいれている場合が多く、更地にして返してくれと言ってくるのです。
通常の賃貸借契約において、借主には原状回復義務というのが生じます。
しかし、原状回復にも解体整地費用が掛かります。
逆を言えば、借地権を返さなければ原状回復費用は掛かりません。
そしてその借地権は、第三者にも売却が可能な権利です。
それで、借地権は、返すのではなくなるべく保持する方向で動くべきと言えます。

建て替えの時の注意について

借地上の建物が老朽化したなどの理由により建替えを行う場合には、借地権設定者つまり地主さんの建替え承諾が必要となります。
そして、その承諾には、建替承諾料を支払うことになります。
建替え承諾料については、一般的に更地価格の3〜5%程度が慣習となっているようです。
この建替え承諾を得ずに建替えてしまうと、借地契約を解除されてしまうなどトラブルのもとになります。
また、旧借地法においては、非堅固な建物から堅固な建物に建て替えてしまうと、借地契約の条件変更となります。
借地権の存続期間にも相違があります。
したがって、その際にも地主さんの承諾が必要となります。
承諾を得ないで無断で建替えを行ってしまうと、契約違反となり、借地契約を解除されてしまう可能性もあります。

親や先代からの借地権の空き家について、どうしたらよいのかわからない場合は、当職においても相談を受け付けております。
またお気軽にお問い合わせください。
小舘行政書士事務所 tokaihorei@nifty.com