農地で行う太陽光発電について


現在、田舎では耕作していない農地がたくさんあります。
その農地で農業を営むには、農地法により、農家でなければできないことになっています。
それで、相続で農地を取得した人や、事情があって農家をやめてしまった人にとって、農地は重荷となってしまいます。
では、どうすればその農地を活用することができるでしょうか?
1つの答えとして、農地で太陽光発電を行うという方法があります。
農地は日照が良く、遊休農地を収益物件として変える手法として、太陽光発電が注目されています。
電力会社が固定の価格で一定期間電力を買い取るという、固定価格買取制度が導入されてから、太陽光発電が普及してきました。
実現方法としては、農地転用する「転用型」と、耕作を続けながら行う「営農型」に分かれます。
それぞれ同じ面積当たりで、設置できる太陽光パネルの量が異なり、発電量も異なります。
例えば、1反1000㎡あたり、転用型では70kw、営農型では40kwの発電量となります。
以下に詳細を見ていきます。

転用型の太陽光発電について

転用型の太陽光発電を行うには、農地を転用しなければなりません。
農地の所有者自身が、農地以外の目的で農地を使用するには、農地法第4条に基づく農業委員会への転用許可申請を必要とします。
農地転用をして太陽光発電する場合には、農地転用許可の申請時に太陽光発電の計画がなくてはなりません。
実際に太陽光発電をすることを前提に、農業委員会から農地転用許可がおります。
ただし、市街化区域以外の区域では、転用が許可される農地は限られています。
具体的には、市街化が見込まれる第2種農地か、市街化が著しい第3種農地しか、農地転用が認められないということになります。
さて、農地転用許可が下りたとして、すぐに太陽光パネルを設置できるかと言えば、そういうわけではありません。
太陽は真昼でも頭上に位置することはありませんので、できるだけ多くの太陽光を発電パネルで受けるためには、発電パネルを傾けなくてはなりません。
発電パネルを傾けて設置するには、架台を必要としますが、傾けるほど風圧による影響を大きく受けますし、架台はしっかり地面に固定しなければなりません。
ところが、畑は通常地盤はフカフカであり、田んぼであれば、地盤はドロドロの粘土質ですので、架台の基礎を固定するために地盤改良が必要となります。
これらの費用が掛かりますので、採算性に影響してきます。

営農型の太陽光発電について

ソーラーシェアリングによる営農型の太陽光発電は、支柱を立てて、農地の上空に発電パネルを並べて設置することにより、発電をします。
下にある作物が育つ最低限の光量を確保するため、発電パネルで覆うのではなく、一定間隔の隙間を作って太陽光パネルを並べます。
しかし、支柱を農地に立てる行為は、ビニールハウス等と違って農業目的ではなく、農地を農地以外で使うことには違いないので、農地転用における「一時転用」の許可を必要とします。
その代わり、営農型の場合は、農地転用の一時転用となることで、恒久的な転用ができない農地も対象になりますので、農業に副収入を見いだす手法として注目されています。
また、この太陽光発電は、ほとんどメンテナンスを必要としないということで、農業への労力が損なわれないので、農業が維持される限りにおいては行政も認めてきた
さて、この発電パネルを支える支柱は、耕作以外で農地を使用する状況を例外的に認めるものなので、簡易で容易に撤去できる方法をとることになります。
多い事例では、単管パイプの支柱を使って組み上げる方式が挙げられます。
また、農地をコンクリートで固める行為は認められません。
さらに、作物への日照の影響を避ける意味からも、強固で太い支柱は不向きとなります。
このあたりは行政側と調整が必要になるので、農業委員会等へ相談してみることができます。
さて、農地転用許可における営農型の太陽光発電は、営農が適切に継続されることを条件として認められます。
その条件としては、下記の通りとなります。
1.下部の農地の単収が地域の平均的な単収よりも2割以上減少しない
2.作物の品質に著しい劣化が生じない
3.農作業に必要な機械等の効率的な使用が妨げられない
3においては、支柱をある程度高くする必要があることを示唆しています。
さて、この営農型における農地転用は、恒久的な転用と異なり一時転用しか認められません。
この一時転用は、3年間を転用期間とし、4年目はそれまでの実績に応じて営農が適切に行われていると判断されれば、再び3年間の一時転用が許可されます。
また、太陽光発電設備の下部で生産された作物の状況は、毎年報告することが、一時転用許可の条件にもなっています。
単年でも作物による収益が著しく落ちるようなら、必要な改善をしなくてはなりませんし、太陽光発電設備の下部で作物が生産されていない場合は、撤去の対象となります。

営農型太陽光発電の法改正と農林水産省の支援について

今まで営農型の太陽光発電の許可は一律3年間でした。
しかし、平成30年5月に太陽光発の農地転用許可制度が見直されました。
今回の法改正で一定条件を満たす場合は、期間が10年以内になるようになりました。
一時転用許可期間を10年以内に伸ばすのに必要な条件は以下になります。
1.担い手が所有している農地又は利用権等を設定している農地で、当該担い手が下部農地で営農を行う場合
2.農用地区域内を含め荒廃農地を活用する場合
3.農用地区域以外の第2種農地又は第3種農地を活用する場合
また、農林水産省は、一時転用期間の延長の他に、農山漁村再生可能エネルギー相談窓口を設置しています。
http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/r_energy/attach/pdf/180515-5.pdf#search=%27%E8%BE%B2%E6%B0%B4%E7%9C%81+%E8%BE%B2%E5%B1%B1%E6%BC%81%E6%9D%91%E5%86%8D%E7%94%9F%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E7%9B%B8%E8%AB%87%E7%AA%93%E5%8F%A3%27
営農型太陽光発電でどれくらいの収益が出るのかといった農業者の相談に乗ったり、優良事例の収集や専門家の紹介をするなど、営農型太陽光発電を検討する農業者をバックアップしてくれます。
さらに、農林水産省は相談窓口などの設置に続き、平成31年2月には営農型太陽光発電の取り組みを支援するガイドブックを制作しています。
営農型太陽光発電取り組み支援ガイドブック
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/attach/pdf/einou-15.pdf
農地で行う太陽光発電について、どうしたらよいのかわからない場合は、当職においても相談を受け付けております。
またお気軽にお問い合わせください。
小舘行政書士事務所 tokaihorei@nifty.com